アルベオラータ門ツリガネムシ目

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タチキガタツリガネムシ?の一種

Zoothamnium? sp.

群体の長さ4mm。全体に白色で、刺激を与えると収縮する。強内湾・港湾などの潮間帯下部〜潮下帯の泥底域の貝殻や転石、カンザシゴカイの殻蓋などに付着している。秋期の貧酸素水塊発生後に確認される。なおツリガネムシ類は動物ではなく、アルベオラータ界。

 

海綿動物門尋常海綿綱

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ナミイソカイメン

Halichondria cf. panicea

岸壁や転石などに付着している。体色は黄色で、全体に突起が多く、形状は複雑。

ジンジョウカイメン類

Demospongiae spp.

岸壁や転石などに付着している。海岸に漂着していることも多い。体は当然ながらスポンジ状。複数種が見られるが、外見からの同定は困難で、顕微鏡で骨片を観察する必要がある。なお、日本近海産の海綿はボディースポンジには不適。

 

刺胞動物門ヒドロ虫綱

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ベニクダウミヒドラ

Ectopleura crocea

付着性のクラゲで、高さ約5cmほどになる。東京湾では冬から初夏にかけて多く見られる。外洋に面した水深10m前後の場所では夏〜秋にも見られる。定置網などに付着し、網を汚損することがある。

カミクラゲ

Spirocodon saltator

花クラゲ目の最大種で傘高10cmほどになる。日本特産種であるが、生活史は未だ解明されておらず、ポリプの性状などは全く不明。冬から初夏にかけて、内湾域で多く見られる。

ドフラインクラゲ

Nemopsis dofleini

直径3cmほどのドーム形の傘を持つ。東京湾では冬から春にかけて出現し、水温が上がると姿を消してしまう。

ギンカクラゲ

Porpita porpita

直径3cmほどのキチン質の気泡体の周辺に、明青色もしくは黄橙色の栄養体と刺胞をもつ感触帯がある。カツオノエボシ同様、夏から秋にかけて流入してくる。刺胞毒はそれほど強くないが、人によっては炎症を起こすこともある。褐虫藻と共生している。

カツオノカンムリ

Velella velella

長さ4cmほどの薄い気泡体があり、三角形の突起が伸びて海面を帆走する。触手は青く、刺胞毒は強い。夏から秋に外洋から内湾に流入する。褐虫藻と共生している。

オワンクラゲ

Aequorea coerulescens

直径15cmほど。非常に柔らかく脆い傘を持つ。生殖腺に発光物質を持っていることで知られるが、光量は非常に弱い。

軟クラゲ目の一種

Haleciidae? gen. sp.

付着性のクラゲで、高さ約5〜10cmほどの芝草状群体になる。小さなヒドロ莢があり、形態からホソガヤ科の一種の可能性が高いと考えられる。

ハナガサクラゲ

Olindias formosa

直径10cmほどの黒色放射条線のある傘に、桃色や淡緑色の短い触手を持つ。刺胞毒はやや強く痛みを感じることがある。主に岩礁域に生息し、東京湾では、湾口付近で初夏から夏にまれに出現する。

カツオノエボシ

Physalia physalis

長さ10cmほどの青いビニール袋のような気泡体があり、触手の長さ数mほどになる群体性の管クラゲ。夏から秋に外洋から内湾に流入する。刺胞毒は強く、触れると危険である。写真は水中から水面のカツオノエボシを見たところ。

カラカサクラゲ

Liriope tetraphylla

直径1-3cmほどの無色透明の球形に近い傘から長短の触手が4本ずつ伸び、傘の中心から口柄が長く伸びる。多数が一斉に発生することがあるが、ポリプ世代はないと考えられており、その機構は不明。

 

刺胞動物門箱虫綱

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アンドンクラゲ

Carybdea brevipedalia

4cm角ほどの傘に、20〜40cmほどの長さの触手を4本もつ。東京湾では夏から秋にかけての高水温期に見られ、ときおり数十個体が群れていることもある。刺胞毒が強く、体が透明であり視認しづらいことから海水浴で刺されることも多い。刺されると痛痒く、人によってはショック症状を起こす。

 

刺胞動物門鉢虫綱

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ミズクラゲ

Aurelia cf. coerulea
(Aurelia aff. aurita)

傘径30cmほどになる。東京湾で最も多く観察されるクラゲ。生殖腺が傘をすかして見え、ヨツメクラゲとも呼ばれる。刺胞毒は弱い。幼生も春に多数が見られる。今まで汎世界種のA. auritaとされていたが、日本近海のものはタイプ産地のバルト海のものとは遺伝的に区別され(Dawson et al., 2005)、Scorrano et al. (2016)では日本産のものをA. coeruleaとしている。

アカクラゲ

Chrysaora pacifica

傘に赤褐色の放射状の帯が約16本ほどあり、径は30cm程度、50本近い触手があり、触手や口腕は数mに及ぶ。刺胞毒は強く刺されると痛い。触手の間にマアジやイボダイの幼魚が隠れていることがあるが、ときどき捕食されてしまうようである。なお過去によく用いられていたC. melanaster の学名の種は、寒流域に分布するキタノアカクラゲで、触手が16本程度と少ない。

ビゼンクラゲ

Rhopilema esculentum
(Rhopilema asamushi)

この個体は傘径20cmほど。淡青色のものは「ビゼンクラゲ」とされているが、色彩や付属器の形態の差異があるがスナイロクラゲ R. asamushi と同種とする説、また有明海で食用にする「赤クラゲ」とされる種が同一種であるかなど、分類学的な再検討が必要とされている。

 

刺胞動物門花虫綱

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チギレイソギンチャク

Aiptasia aff. minuta
(Exaiptasia pallida)

体柱径1cmほど。タテジマイソギンチャクに似るが、体壁が淡色で、上端が襟状にならず触手へと連続的に繋がる。潮下帯の護岸壁や潮間帯下部の転石の下面などに見られる。本種とされるものには複数種が混在している可能性が高く、またセイタカイソギンチャクと同種とする意見もある。裂片で無性生殖し、ときに水族館の水槽などで大発生する。

タテジマイソギンチャク

Diadumene lineata
(Haliplanella lineata)

体柱径1.5cmほど。岩礁や岸壁、干潟のヨシの茎や漂着物、杭などに付着。体壁は濃緑色〜淡緑色で、橙色や白色の縦縞がある。槍糸をよく出す。Haliplanella 属は多毛類に先取権をもつ同名属がありDiadumene に移されたが、多毛類のHaliplanella 属に唯一属していたH. pacifica Maupasia gracilis のシノニムで無効であり使われないため、どちらを用いてもよいとされる(Fautin et al., 2009)。

セイタカイソギンチャク科もしくはナゲナワイソギンチャク科の一種

Paraiptasia? sp.

体柱径0.5cmほど。形態的にマキガイイソギンチャクParanthus sociatus に近似するが、体壁は白色で疣があり、槍糸を良く出す。アラムシロなどの殻表や、埋在した貝殻に付着している。

ホウザワイソギンチャク

Synandwakia hozawai

体柱径1cmほど。本種は1968年以来長らく確実な記録がなかったが、2006年に陸奥湾の芦崎干潟で再確認された。中部日本以北の内湾砂泥底に生息し、東京湾でも三番瀬海浜公園や葛西臨海公園、お台場海浜公園などに多産する。同所に出現する他の種に比べて触手が少なく、体壁に目立った構造がないが付着基部が球形に膨らむ。恐らく胎生。西日本にも近似の別種(ミナミホウザワイソギンチャク)が分布するが、要検討。

ムシモドキギンチャク科

Edwardsiidae gen. spp.

体柱は径3mm-1cmほどで、表面は褐色の皺の多いクチクラ膜に覆われ、下部は膨らみ底球になる種が多い。触手は16-24本ほどで泥底〜砂泥底に見られる。東京湾でも複数の種が見られるが分類は混乱しており、現在、分類学的な再検討がすすめられている。

イシワケイソギンチャク
(クロガネイソギンチャク近似種)

Anthopleura sp. 1
(Gyractis japonica sensu Uchida)

体柱径3cmほど。九州以北の南日本の内湾砂泥底に多産し、埋在した貝殻や石などに付着している。体壁上部は吸着疣が発達し、最上部に周辺球がある。触手には黒い縦筋が4本あり、白色斑が散在するが、色彩変異も多い。「ワケノシンノス」と呼ばれ食用にされている。以前はクロガネイソギンチャク A. kurogane もしくはその近似種とされていたが、クロガネイソギンチャクは銚子以北に分布し、共生藻を持たない。

ヨロイイソギンチャク属の一種

Anthopleura sp. 2

体柱径2cmほど。東京湾湾奥部の砂泥底に多く見られる。体壁に小さな吸着疣があり、最上部に周辺球があるためヨロイイソギンチャク属と判断される。色彩変異が多く、白色、黄色、淡紫色のものなどが見られる。本種を含むAnthopleura 属は分類学的に混乱しており、現在再検討が行われている。

ハナワケイソギンチャク
(ダイコンイソギンチャク)

Paracondylactis? sp.
(Paracondylactis sinensis sensu Uchida & Soyama)

内湾の砂泥底で見られる。体柱径約7cm。触手を伸ばすと直径20cmほどになる大型種。スナイソギンチャクよりも触手の本数が多く、イシワケイソギンチャクよりも大型で体に目立つ斑紋はない。確認例数が少なく、詳細は不明。ハナワケイソギンチャクもしくはダイコンイソギンチャクと考えられるが、両種は形態的に差異が見られない。

 

有櫛動物門環体腔綱

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カブトクラゲ

Bolinopsis mikado

東京湾では最も普通に見られる有櫛動物。約10cmになる。8本の櫛板が帯状に配列しており、それを動かして移動するが遊泳能力は低い。櫛板は繊毛の集合体で、光が干渉して虹色に光って見える。

カブトヘンゲクラゲ
("ロバトランペア"の一種)

Lobatolampea tetragona

長径4cmほど。普段は泥底に体を広げており、ときおり全身を煽るように動かして遊泳する。4本の"C" 字型の生殖腺が目立つ。2000年に記載された種で、伊勢湾、瀬戸内海、沖縄島、石垣島から記録があるが全て合わせても50個体ほどしか確認されていない希種(久保田ほか 2013)で、系統的な位置も不明。

ウリクラゲの一種

Beroe sp.

約10cm。ウリクラゲ B. cucumis は体横断面が円形だが、本種の横断面は楕円形であり、北日本に分布するサビキウリクラゲ B. mitrata と類似するが、櫛板列が長く、南日本で夏季に観察されるなどの相違がある。ウリクラゲ類は分類が未整理である群のひとつ。

 

扁形動物門渦虫綱

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スチロヒラムシ科の一種

Stylochidae sp.

体長約4cm。全体に黄褐色で、濃色の斑点が全身に分布する。体の前端部から約1/5に触角が1対ある。また、口が腹面のほぼ中央に位置する。転石下などに見られる。

多岐腸目の一種 1

Polycladida sp. 1

体長約4cm。全体に淡赤褐色で、体表に触角は見られない。小櫃川河口干潟の潮間帯下部の砂中で見られたもので、詳細な分類情報は不明。

多岐腸目の一種 2

Polycladida sp. 2

体長約4cm。全体に黄褐色で濃色の斑がある。体表に触角は見られないが、体前方に眼点がある。東京港の付着性物間で見られたもので、詳細な分類情報は不明。

 

紐形動物門担帽綱

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ホソヒモムシ属の一種

Cephalothrix sp.

体長5cmほど。体色は淡黄色で、頭部は特に淡い。内湾砂底に生息。

ナミヒモムシ

Cerebratulus mcommunis

体長10cmほど。体色は淡く黄白色〜肌色、または淡緑色で、頭部は尖り最後部に尾毛を持つ。内湾砂底に生息。上は本種の幼体と見られる全長約3mmの個体で、親個体の近傍で採集された。

 

紐形動物門針紐虫綱

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ホソミドリヒモムシ

Emplectonema gracile

体長30cmほど。体色は背面が緑色、腹面がほぼ白色。ミサキヒモムシに似るが、横断する白帯がない。体は後半が扁平で、頸部はややくびれる。護岸などの付着性物の間に生息。

ヤジロベヒモムシ

Amphiporus aff. cervicalis

体長10cmほど。体色は淡黄色〜明赤色。頭部は体より幅広い。潮間帯の転石下や礫の中に生息。

メノコヒモムシ?

Quasitetrastemma cf. nigrifrons

体長4cmほど。背面は赤褐色で、頭部は白色に褐色の斑紋があり、幅が体より広い。護岸などの付着性物の間に生息。