節足動物門ウミグモ綱

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シマウミグモ

Ammothea hilgendorfi

体長6mmほどになり、腹部は短く上方に突出する。歩脚は長く、広げると1cmを超える。鋏肢は退化している。胴、歩脚に紫褐色の斑紋がある。カイメン・ホヤ類などの付着性物や漂着物の間などに見られる。

カイヤドリウミグモ

Nymphonella tepetis

体長7mmほどになる、長い第1歩脚が特徴のウミグモ。アサリ・シオフキ・マテガイなどの二枚貝の外套腔に寄生する。大発生すると寄主を衰弱させるため、漁業被害を生じることがある。

ミドリウミグモ科?の一種

Endeididae? gen. sp.

体長6mmほど。鋏肢や触肢がなく、歩脚は細長い。ミドリウミグモ科もしくはその近縁種と考えられるが詳細不明。カイメン・ホヤ類などの付着性物や漂着物の間などに見られる。

 

節足動物門Hexanauplia綱貝虫亜綱

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カイムシの一種

Myodocopa fam. gen. sp.

殻長0.3mm程度の底生の貝虫類。いわゆるカイミジンコの仲間。肉眼ではほぼ観察・同定不能。

 

節足動物門Hexanauplia綱無柄目

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イワフジツボ

Chthamalus challengeri

殻径5mmほど。外洋に面した場所から内湾域に至る潮間帯上部〜飛沫帯の岩盤や護岸などに付着する。

ドロフジツボ

Fistulobalanus kondakovi

殻径15mmほど。内湾や河口域など、淡水の影響を強く受ける場所の低潮線付近に多い。シロスジフジツボに似るが殻板の肋は不連続で点列状〜ほぼ平滑、またタテジマフジツボより殻口の開きが大きい。

シロスジフジツボ

Fistulobalanus albicostatus

殻径15mmほど。内湾や河口域のヨシ原や漂着物などに多く見られる。殻の表面に白色の肋が目立つ。殻口が鋸歯状になっており、前後に傾斜していることが多い。

タテジマフジツボ

Amphibalanus amphitrite

殻径15mmほど。内湾の潮間帯に分布する。シロスジフジツボに類似し、6枚の殻板をもつが、肋が弱くほとんど平滑なものもある。殻板に紫色の縦帯を持つが、摩耗するとわかりにくい。殻口は平坦で、ほぼ水平に近い。移入種とされる。

アメリカフジツボ

Amphibalanus eburneus

殻径15mmほど。内湾の港湾などの潮間帯から潮下帯の岩、岸壁、貝や甲殻類に付着する。次種ヨーロッパフジツボと比較して背が高く殻口が広いこと、楯板に輪脈と直交する条線があることで識別できる。アメリカからの移入種。

ヨーロッパフジツボ

Amphibalanus improvisus

殻径10mmほど。内湾の港湾などの潮間帯から潮下帯の岩、岸壁、貝や甲殻類に付着する。アメリカフジツボに比べて背が低く、殻口が狭いこと、楯板には輪脈のみがあることで区別できる。原産はヨーロッパもしくはアメリカとされる。

 

節足動物門軟甲綱口脚目

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シャコ

Oratosquilla oratoria

全長15cm程度。いわゆる鮨ネタの「蝦蛄」。アナジャコ類やエビジャコ類とは目レベルで異なり、かなり縁遠い生物である。

 

節足動物門軟甲綱薄甲目

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コノハエビ

Nebalia cf. japanensis

全長8mm程度。泥底や付着生物間に棲息し、ときおり水中を遊泳する。クーマ類に似ているが、明確な複眼がある。コノハエビ類については分類がまだ整理されていない部分が多い。

 

節足動物門軟甲綱アミ目

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シキシマフクロアミ

Archaeomysis vulgaris

体長約10mm。波当たりの強い砂浜海岸の砂中に生息。東京湾では湾口部付近の海水浴場などで見られるが、体色がほぼ無色透明で発見しにくい。写真上が雄、下が雌。

ニホンイサザアミ

Neomysis japonica

体長約15mm。秋〜春に、群で海中を泳いでいる。エビに似ているが、胸脚に鋏がなく、尾に平衡胞と呼ばれる構造があり、まったく別の仲間。イサザアミと似るが、額角が尖らず、尾節板先端両脇の棘はあまり大型化せず、側面の棘は30本前後。

イサザアミ
(クロイサザアミ)

Neomysis awatschensis

体長約15mm。ニホンイサザアミに似ているが、額角が尖り、尾節板先端の両脇に大きな棘があり、側面の棘が20本前後であることで区別可能。以前は淡水産のものをイサザアミN. intermedia 、汽水〜海産のものをクロイサザアミとしていたが、現在、両種は同種とする見解がある。

 

節足動物門軟甲綱端脚目

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ウスゲナミノリソコエビ

Haustorioides furotai

体長5mmほどだが変異が大きい。砂干潟の潮間帯中部の、比較的潮流のある場所で多く出現する。2021年に盤洲干潟をタイプ産地として記載された。和名の通り、触角や胸脚の剛毛が主要な同属他種よりも目立たない。学名は東京湾の干潟の保全研究に尽力されたとして風呂田利夫氏に献名されている。

フサゲモクズ

Ptilohyale barbicornis

体長7mmほど。体色は黄褐色〜淡緑色で変異が多い。雄の第2触角にブラシ状の毛が密生する。潮間帯上部〜潮上帯のヨシ原際の漂着物の下や転石の間隙から、潮下帯の付着生物間などに多く出現する。干潮時はよく跳躍する。

フサトゲモクズ

Protohyale (Protohyale) affinis

体長7mmほど。体色は黒紫色〜淡緑色で変異が多い。海藻や漂着物の中に見られる。右が雄、左が雌。和名が上記のフサゲモクズと紛らわしいが別種であり、本種は潮上帯では見られない。

モクズヨコエビ科(Apohyale 属?)の一種

Apohyale? sp.

体長8mmほど。体色は淡褐色〜緑褐色で濃淡褐色の斑紋があり、変異が見られる。潮間帯の転石や護岸表面のフジツボ類の間隙や、岩礁のタイドプール内の緑藻類に付着している。

タイヘイヨウヒメハマトビムシ
(ヒメハマトビムシ種群の一種)

Platorchestia pacifica
(Platorchestia platensis sensu Morino & Ortal, 1995)

体長8mmほど。潮上帯の漂着物の下や転石の間隙などに棲息し、よく跳躍する。ヒメハマトビムシの学名は従来P. platensis とされていたが、この学名の種は大西洋産であり、日本産の種は本種以外にもDemaorchestia joi など複数種が混在するとされる。なお、ハマトビムシ科は内顎昆虫(粘管目)のトビムシ類とは全く異なる分類群である。

ミナミホソハマトビムシ

Pyatakovestia iwasai

体長30mmほどの大型種。潮上帯の漂着物の下の砂の中や、転石の間隙などに生息する。内湾域では少なく、外洋に面した海岸で多く見られる。同属の近縁種ホソハマトビムシP. pyatakovi など、生態や生時の色彩が異なる近似種が複数あるが、それらの分布についての情報は少ない。

ニホンドロソコエビ
(ニッポンドロソコエビ)

Grandidierella japonica

体長10mmほど。内湾部の潮間帯〜潮下帯にかけての泥底に多く見られる。泥中にトンネルを掘って生息する。東京湾の干潟域では最も普通に見られるヨコエビ 。

オオサカドロソコエビ

Grandidierella osakaensis

体長6mmほど。淡水の影響を受ける潮間帯の転石下に見られる。主に大阪湾周辺での分布が知られており、東京湾周辺では三浦半島の河口域の干潟で見られるが少ない。三陸海岸南部には同様の生息環境に、2017年に新種記載された同属の近似種サンリクドロソコエビ(G. sanrikuensisが分布している。

ヒメドロソコエビ

Paragrandidierella minima

体長3mmほど。ニホンドロソコエビよりもさらに小型で、尾節が短い。潮間帯の上部から下部にわたり出現する。

アリアケドロクダムシ

Monocorophium acherusicum

体長6mmほど。第二触角が発達しており、第一触角の基部も肥大し台形になる。額角は小さめで、複眼より後部から突出する。海藻・付着物の間に棲管をつくっている

トンガリドロクダムシ

Monocorophium insidiosum

体長6mmほど。雄の第二触角が発達しており、第一触角基部に内向きの一対の突起がある。複眼の間に明瞭な額角がある。付着物の間に住み込んでいることが多い。移入種とされている。

ウエノドロクダムシ?

Monocorophium cf. uenoi

体長5mmほど。雄の第二触角が発達しており、複眼の間に明瞭な額角があり上記のトンガリドロクダムシに類似する。第一触角基部は肥大せず、突起もない。
東京湾ではこれ以外にも、尾節が分節する別属 Sinocorophium 属のニホンドロクダムシ S. japonicumも確認されている。

モズミヨコエビ

Ampithoe cf. valida

体長8mmほど。体は細く、やや上下に扁平。底節板が前方に突出する。雄の第二咬脚の掌部下縁の張り出しは弱い。体中に暗褐色の小点を散らす個体が多い。アオサ類やオゴノリなどの藻類に付着している。

ニッポンモバヨコエビ

Ampithoe lacertosa

体長20mmほど。体は細く、やや上下に扁平。底節板が前方に突出する。体色は淡緑色から褐色など。アマモ類などの海草に付着していることが多い。上記のモズミヨコエビA. validaに近似するが、雄の第二咬脚の形状が異なり、また緑色の個体でも褐色点は目立たない。下記のような複数の類似する種がいるとみられる。

ヨツデヒゲナガ近似種

Ampithoe cf. changbaensis
(Ampithoe aff. tarasovi )

体長8mmほど。体は細く、やや上下に扁平。底節板が前方に突出する。雄の第一,第二咬脚が大型化する。体色は濃褐色で第1胸節と第5胸節に白色横帯があるものが多い。転石干潟のアオサ類などに多いヨツデヒゲナガ A. tarasovi に近似するが、本種は岩礁海岸の小型紅藻・褐藻に随伴しており、2021年に新種記載されたA. changbaensis の可能性が高い。

コウライヒゲナガ?

Ampithoe cf. koreana
(Pleonexes cf. koreana)

体長6mmほど。転石場や岩礁の藻類に付着していることが多い。第二触角に剛毛が多いが、フサゲヒゲナガ A. zachsi などこのような特徴を示す種が複数あること、またこの個体の触角の先端部が失われているため、同定は暫定。

トゲワレカラ

Caprella scaura

体長20mm。写真上が雄、下が雌。内湾域の海藻や海綿、漂着物などに付着していることが多い。頭部に上方に向いた突起があり、第4〜第7胸節背面にも突起がある。

クビナガワレカラ

Caprella equilibra

体長20mm。写真上が雄、下が雌。トゲワレカラと同様、内湾域の海藻、漂着物などに付着していることが多いが、頭部には前方に向けて弱い額角があるのみで、上方に向いた突起はない。

オオワレカラ

Caprella kroeyeri

最大で体長50mmほどになる大型のワレカラ。内湾域のアマモ場で多く見られる。頭部に棘はなく、鰓が細長く、胸部体節では第5胸節が最も長い。

マルエラワレカラ(R型)

Caprella cf. penantis "R-type"

体長15mm程度。写真上が雄、下が雌。温帯域の主に外洋に面した海岸で広く見られ、海藻や漂着物に付着していることが多い。外洋に多いR型は体節が太い。マルエラワレカラとされるものは咬脚や胸脚の形態に地域差があり、複数種が含まれている可能性がある。

マルエラワレカラ(S型)

Caprella cf. penantis "S-type"

体長15mm程度。写真上が雄、下が雌。温帯域の主に内湾で広く見られ、海藻に付着していることが多い。和名のとおり円形の鰓を持つ。内湾に多いS型は体節が細い。

ドロノミ科の一種

Podocerus brasiliensis

体長7mmほど。胸脚が長い。潮間帯下部〜潮下帯の付着生物の間隙に棲み込んでいたもの。本種以外にも、汽水域の潮間帯砂泥底に棲息する種が養老川河口などで確認されている。

ムシャカマキリヨコエビ

Jassa marmorata

体長10mmほど。雄の第2咬脚が発達し、前節には逆爪がある。背面が強く盛り上がる。海藻の中などに巣を作って住み込んでいる。他にも近似種(フトヒゲカマキリヨコエビ J. slatteryi など)が東京湾には産する。

イソホソヨコエビ
(ホソヨコエビ)

Ericthonius pugnax

体長7mmほど。潮間帯下部〜潮下帯の構造物に海藻の破片を粘液で固めた棲管をつくり生息している。近似種のE. brasiliensis モバソコトビムシも東京湾では見られる。

スンナリヨコエビ

Maeropsis serratipalma

体長5mmほどで体色は淡橙色。左右に扁平。メリタヨコエビ科の種に比べ第三尾肢が短く、また第二咬脚掌部の下端が大きく広がりほぼ直角をなす。岩礁や転石場などに棲息。スンナリヨコエビ類は近年、属位を含めた再検討が行われた。

フトメリタヨコエビ

Melita rylovae

体長12mmほどになる。Melita 属の中では大型で体高が高い。胸脚に褐色の斑紋がある。護岸のムラサキイガイ群集やカイメン類の中に住み込んでいることが多い。

シミズメリタヨコエビ

Melita shimizui

体長5mmほど。汽水域の潮間帯の漂着物や転石周辺に多い。透明感が高く、消化管が透けて見える。第二触角の剛毛は目立たない。

ヒゲツノメリタヨコエビ

Melita setiflagella

体長5mmほど。左右に扁平で、汽水域の潮間帯の漂着物や転石の下などに多く出現する。体に縞模様があり、複眼が小さく第二触角に剛毛が目立つ。

カギメリタヨコエビ

Melita koreana

体長10mmほど。左右に扁平で体表面は平滑。体色は灰褐色に薄い横帯が見られる。潮間帯の漂着物や海藻などに住み込んでいるが、数は少ない。

メリタヨコエビ属の一種

Melita sp.

体長6mmほど。左右に扁平で、体色は淡褐色と黒褐色の太い帯が横断する。外洋に面した岩礁のフジツボ類やカサガイ類の周辺で見られ、湿潤した岩表面を這って移動する。

アゴナガヨコエビ

Pontogeneia rostrata

体長5mmほど。砂質の前浜で見られる。体色は全体に乳白色で、赤褐色の斑紋が点在するが、生時は消化管が透けて見え、大きな赤い複眼が目立つ。茨城・福島の外洋に面した砂浜では体色の斑紋の薄い近似種ホンアゴナガヨコエビ P. bocki が見られる。

ポシエットトゲオヨコエビ
(ポシェットトゲオヨコエビ)

Eogammarus possjeticus

体長8mmほど。左右に扁平で、アオサ類やオゴノリなどの海藻に付着していることが多い。同所的にモズミヨコエビが出現することも多いが、本種の方が体高が高く、複眼も大きく第3尾肢は長い。和名の表記に振れが見られるが、Tomikawa et al. (2006)の和名新唱では「Poshietto togeo yokoebi」とされている。

クビナガスガメ

Ampelisca brevicornis

体長5mmほど。左右に扁平。複眼が上下に2つ配列している。砂質〜砂泥質干潟の潮下帯に浅く潜っている。

ウシロマエソコエビ属

Eohaustorius spp.

体長10mmほど。砂質干潟の潮間帯下部に出現する。全体に白色でずんぐりとしており、上下に扁平な体型をしている。E. longicarpus 近似種、E. longidactylus と思われる種、E. setulosus の記録があり、複数種が混在する可能性がある。

マルソコエビ属の一種

Urothoe cf. orientalis

体長4mmほどになる。砂質干潟の底質中に見られる。複眼は大きく、体色は白色だが生時は消化管が透けて見えるため黄褐色に見える。

広義のサンパツソコエビ属の一種

Synchelidium (sensu lato) sp.

体長5mmほど。左右に扁平。頭部前端が嘴状をなし、左右の複眼が癒合している。アマモなどの海草に付着している。

テングヨコエビの一種

Pleustes sp.

体長7mmほど。体は太短く堅い。額角が強く前方に突出する。体色は変異が多い。岩礁域の海藻に付着していることが多い。

タテソコエビ科の一種1

Stenothoe? sp. 1

体長4mmほど。左右に扁平で、第2〜4底節板が非常に大きく、第4底節板末端は裁断状。岸壁やロープなどの構造体の表面に棲息し、よく遊泳する。東京港の岸壁に付着していたもの。

タテソコエビ科の一種2

Stenothoe? sp. 2

体長5mmほど。左右に扁平で、第2〜4底節板が大きいが、第4底節板末端は裁断状にならない。養老川河口の岸壁に付着していたもの。

タテソコエビ科の一種3

Parametopella sp.

体長4mmほど。左右に扁平で、第4底節板が非常に大きく、末端は裁断状にならず、また5〜7歩脚が細い。東京港の岸壁に付着していた。

 

節足動物門軟甲綱等脚目

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ヒゲナガウミナナフシの一種

Amakusanthura sp.

体長5mmほど。第2触角が長く伸長し、羽毛状になる。眼点は大きく、尾節に平衡胞をもつ。潮間帯の砂底中に棲息。

ムロミスナウミナナフシ

Cyathura cf. muromiensis

体長15mmほど。体色の変異が大きい。多摩川河口や小櫃川河口などの大きな河川の潮間帯砂底に埋生する。ナナフシと名がつくが、もちろん昆虫ではなく、等脚目。近似種との区別が困難で分類学的に混乱しているが、本種の種内変異である可能性が示唆されている。

Idotea 属の一種

Idotea sp.

体長20mmほど。第2触角の鞭節は短い。体色に変異が大きい。主に漂着した海藻の中で見られる。

ハナビラヘラムシ
(エゾワラジヘラムシ)

Synidotea cf. ezoensys

体長20mmほど。第2触角の鞭節は長い。体色に変異が大きい。上記の種とともに、主にアマモ類や漂着した海藻の中や、時にスゴカイイソメなどの他の動物の棲管の中などで見られる。

ホソミヘラムシ?

Pentias cf. namikawai

体長40mmほどの大型種。ホンダワラ類に付着していることが多い。第2触角の鞭節は短い。体色は黄褐色で腹節側面に3本の縫合線があり、頭部には褐色の過眼線がある。この標本は第2触角の鞭節数が記載と一致しない。

ヒメスナホリムシ

Excirolana chiltoni

体長7mm程度。波当たりの強い砂浜海岸の砂中に生息。東京湾では湾口部付近の海水浴場などで多数が見られ、肉食・死体食性で咬まれるとやや痛い。

ニセスナホリムシ

Cirolana harfordi japonica

体長10mm程度。下のコツブムシ類と似ているが、腹節が癒合せず分離している。転石下などにみられ、前種同様に肉食・死体食性で咬まれると痛い。

シカツノウミクワガタ

Elaphognathia cornigera

体長3mm程度。クロイソカイメンなどのイソカイメン類の内部に見られる。雄の大顎が発達して鍬形状になり、その先端が二叉する。

スナモグリノエラヤドリ

Pseudione longicauda

雌の体長10mm程度。ニホンスナモグリなどの胸部鰓腔に寄生する。雌は大型で左右非対称、雄は小型で雌の体に付着している。他にスナモグリヤドリムシIone cornuta などの複数の寄生種がいる。

ヨツバコツブムシ

Sphaeroma retrolaevis

体長10mm程度。尾肢の外肢外縁に3〜4歯があり、尾節先端は丸い。前種同様、内湾域の汀線付近の転石や漂着物の下、または泥岩や木材などに穿孔する。形態の似るイワホリコツブムシ近似種は、尾節先端が尖る。なお本種とされるものには、尾肢の毛の量(記載では"smooth")に変異があり、複数種が混在する可能性がある。

ナナツバコツブムシ

Sphaeroma sieboldii

体長10mm程度。尾肢の外肢外縁に7〜8歯があり、ヨツバコツブムシおよびイワホリコツブムシでは3〜4歯である。内湾域の汀線付近の転石や漂着物の下、または泥岩や木材などに穿孔して生息する。瀬戸内海のホボロ島で大発生し、島を浸食していることで話題になっている。

イワホリコツブムシ近似種

Sphaeroma aff. wadai
(Sphaeroma cf. terebrans)

体長10mm程度。尾肢の外肢外縁に3〜4歯があり、尾節先端は尖る。S. wadai と異なり腹節側部の縫合があり、インドをタイプ産地とするS. terebrans に似る。前種同様、内湾域の汀線付近の転石や漂着物の下、または泥岩や木材などに穿孔する。これらSphaeroma の3種は時に混生する。

イソコツブムシ属の一種

Gnorimsphaeroma sp.

体長7mm程度。イソコツブムシ属の種は、海岸の堆積物や漂着物、付着性物の間隙に生息しており、よく遊泳もする。また、ダンゴムシのように体を丸めることができる。斑紋や体色の変異が大きく、また類似する種も多いため写真および目視での種同定は困難。

フナムシ

Ligia exotica

体長40mm程度。触角が腹節を超える。肉食性が強く、水辺を離れて山中や人家に侵入したりする。内湾部の護岸域や湾口付近に多く、特に岩礁域で見られるのはほとんどが本種。

キタフナムシ

Ligia cinerascens

体長30mm程度。触角が腹節に届かず、尾肢も短い。植食性が強く、水辺をあまり離れることはない。東京湾湾奥部のフナムシ類はキタフナムシがほとんどである。

 

節足動物門軟甲綱タナイス目

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キスイタナイス

Sinelobus cf. kisui

全長約3mmほどの小型種。汽水域の軟泥底中に生息する。ノルマンタナイス種群 Zeuxo aff. normani に似るがより小型で腹節が4節。

 

節足動物門軟甲綱クーマ目

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ミツオビクーマ

Diastylis tricinctus

体長約7mm。長い尾節が特徴。東京湾では最もよく出現するクーマ。ちなみにクーマ(cuma)とはギリシャ語で波の意。

エドシロクーマ

Leucon varians

体長約4mm。体色はほぼ白色で、尾節が退化している。雄の甲殻の背面の正中線が盛り上がり、先端に鋸歯状の突起がある。砂泥底〜泥底に棲息。

シロクーマ科の一種

Leuconidae gen. sp.

体長約4mm。体色はほぼ白色で、尾節が退化している。上に示すエドシロクーマに似るが、尾肢の形態などが異なる。