軟体動物多様性学会 Molluscan
Diversity, 2(1). July 2010
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原著
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イシゴロモ(二枚貝綱:オオノガイ目:ニオガイ科)の分布の現状
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芳賀拓真
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要約
イシゴロモは本州と九州の数カ所からのみ知られてきた絶滅危惧種であり,種名が広く認知されている一方,これまでその棲息環境について知りうる情報は乏しかった。近年の現地調査によって九州西岸の2カ所で棲息を確認することができた。しかし,潜在的な棲息地が新たに発見される可能性はあるものの,本州の一部の個体群は主に埋め立てによって棲息地を破壊され,絶滅したと考えられる。さらに,本種は大きな内湾干潟の辺縁の潮間帯に分布する脆く軟らかい堆積岩にのみ棲息する,基質の選択性が狭い種類であることが初めて示された。そうした特異な棲息地は環境破壊の脅威に曝されており,保全策が必要である。
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キーワード: 穿孔性二枚貝,基質,堆積岩,内湾,埋め立て,絶滅危惧種
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関東地方で初めて確認されたウスイロオカチグサ(新生腹足上目:カワザンショウ科)の野外個体群
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多留聖典
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要約
千葉県船橋市の市街地にある東邦大学習志野キャンパス内から,移入種の可能性が高い水陸両棲種ウスイロオカチグサの生貝が発見された。関東地方の屋外における本種の産出はこれが初めてであり,日本全体でもこれまでで最東の記録である。発見された個体の棲息環境は水域と連続しない湿潤な陸域であった。これらは園芸植物もしくは園芸用品に付随して非意図的に移入された可能性が高く,東日本においても今後の急速な分布拡大が懸念される。
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キーワード: リソツボ上科,陸貝,移入種,関東地方,棲息環境
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徳島県伊島で新たに確認された非海産貝類―特にタナゴジマスメアゴル(新称;腹足綱:有肺目:スメアゴル科)の発見
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福田 宏・多々良有紀
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要約 徳島県阿南市伊島とその属島の前島・棚子島から,新たに以下の13種の非海産貝類が見出された。淡水産:イシマキ。飛沫帯産:ジーコンボツボ,ヤマトクビキレガイ,シュジュコミミガイ,ハマシイノミ,ナギサノシタタリ,タナゴジマスメアゴル(新称)。陸産:イボイボナメクジ近似種,サツマオカチョウジ,トクサオカチョウジ,ノハラノイシノシタ,ヤクシマヒメベッコウ,チャコウラナメクジ。ジーコンボツボとシュジュコミミガイは四国では高知県から産出例があるが,徳島県では新記録である。タナゴジマスメアゴルは,従来ニュージーランドとオーストラリア南東部からのみ知られていたスメアゴル科に属す未記載種で,同科の種は近年鹿児島県奄美大島・岡山県笠岡諸島北木島から発見されたが,タナゴジマスメアゴルはそれらに次ぐ北半球で3例目の同科の種である。本種は棚子島の飛沫帯において,平坦な礫地の転石下から9個体が見出された。
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キーワード: 陸産貝類,淡水産貝類,稀少種,飛沫帯,阿南市
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