東京港生物調査

2011年4月のお台場海浜公園

2014.4.24


(写真:多留聖典)

 今回も調査はお台場海浜公園のみである。海岸に着くと、メンバーの一人が姿を見るなり駆け寄ってきた。「オウギゴカイがすごいですよ〜」。
 バケツの中には大型のオウギゴカイの生殖型が20個体ほど入っていた。どうやら、夜に生殖群泳で泳出した個体が海岸に取り残されたのだろう。体色が赤いのが雄、緑色のが雌。


 オウギゴカイに興奮したまま海にはいると、最近しばらく見かけなかったホウザワイソギンチャクも健在であった。東京湾の湾奥部では普通種なのだが、全国的には報告が非常に少なく、動向が注目される種であろう。このイソギンチャクにはイトカケガイ科のクレハガイがついていることがある。


(写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 あたりには、多毛類の棲管が多数見られた。これはドロオニスピオ近似種の棲管。これくらいの密度でいるのはこの種では全く普通のことであり、異常でも何でもないのだが、1平方メートルに数千匹と大量に出現するため、市民調査などでは参加者泣かせである。


 こちらはガンゼキフサゴカイの1種の棲管。熊手状構造が棲管の上に付着している。そこから触手を伸ばして採餌をしているらしい。なぜかこれも、3〜4個体ずつ固まって見られ、不思議な分布をする。
 他には、ヒラツノモエビやサシバゴカイの1種(Phyllodoce sp.)、ヒダビルなど、多くの生物が確認できた。


(写真:多留聖典)

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