東京港生物調査

2012年8月のお台場海浜公園

2012.8.26


(写真:多留聖典)

 2012年8月末のお台場海浜公園。海水は赤潮で赤褐色に濁り、海底は非常に暗い。そして白色のバクテリアマットがやはり海底を覆っている。そんな中、アミメハギの姿が見られた。恐らく、ここに長くとどまっていることはないだろう。


 人工漁礁はもはやPolydora 類の棲管にほとんど覆い尽くされてしまっていた。支柱を見ると、ナギサコケムシ近似種(Bugula stolonifera)やチギレイソギンチャクなどが少し見られるが、前回まで多く付着していたフジツボ類はほとんど死んでいた。


(写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 海底には、かろうじてホンビノスの水管が開いていた。そしてイソギンチャク類やミズヒキゴカイなど少数の種のみが棲息していた。コオニスピオとみられる棲管があったので掘り出してみたが、既に本体は見られなかった。


 海底の貝殻の上には、3 mmほどの白い羽毛状のものが多く見られた。強く刺激を与えると全体がきゅっと縮む。エダワカレツリガネムシの一種 Carchesium sp. と思われ、淡水産種(たとえば C. polypinum )と同種とする見解もあるが、海産種についての情報は非常に乏しく、詳細は不明。


(写真:多留聖典)

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