東京港生物調査

2012年9月のお台場海浜公園

2012.9.30


(写真:多留聖典)

 2012年9月のお台場は、先月に増して貧酸素の影響を受けて、多くの生物の死体が海底に散乱していた。ホトトギスやアサリ、シオフキなどの二枚貝はほとんど殻を開き、軟体部が露わになっていた。

 貝だけでなく、砂中に潜行するニホンスナモグリも、多くの死体が海底に現れていた。恐らく酸素を求めて巣穴から出てきたのだろうか。


(写真:多留聖典)


(写真:多留聖典)

 弱って付着基質からはがれてしまったのか、普段は海底に深く潜り込んでおり、貧酸素にも強いイシワケイソギンチャクやハナワケイソギンチャクなどの、比較的大型のイソギンチャクも水底に転がっていた。この個体は浅所の海水につけたところ、無事復活した。

 比較的貧酸素に強いとされるホンビノスも殻を開き、既に軟体部が腐敗しているものも多かった。生残している個体も、水管を長く水中に伸ばしていた。かろうじて生き残っているのは、比較的浅い水深のイソギンチャク類や小型のスピオなどの多毛類などであった。ある程度干満にさらされる場所でないと生存は難しいようだ。


(写真:多留聖典)


(写真:多留聖典)

 人工漁礁もほとんどの付着生物がはげ落ちていたが、表面の黒い塊をはがすと、中から多数のルドルフイソメが姿を現した。干出しない場所では、比較的貧酸素や硫化物に強い耐性を持つ種がなんとか生残しているようだ。

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