東京港生物調査

2013年01月のお台場海浜公園

2013.01.27


(写真:多留聖典)

 2013年最初のお台場海浜公園の調査である。だいぶ水温も下がり、生物の活動も鈍くなっている。石垣のすぐ脇には、まだ貧酸素で死んだコウロエンカワヒバリガイの殻が積もっていた。その間に、繁殖期を迎えたタマキビが水中に降りてきていた。

 ヒメホウキムシが、あちこちで白い鰓冠を広げているのが目についた。去年の秋の貧酸素の後、姿が見られなくなっていたが、今回はかなり多数の個体が見られた。


(写真:多留聖典)


(写真:多留聖典)

 先月にも確認された有櫛動物のロバトランペアが再び確認された。先月は3個体、今回は2個体が確認され、複数個体の出現があることから、この周辺海域で定着しているのかもしれない。

 人工魚礁の支柱についたマンハッタンボヤに、ヒメイバラウミウシが付着していた。お台場海浜公園で目撃したのは2回目である。前回は非常に小型の個体で5mmほどであったが、今回は10mm以上の大型個体であった。


(写真:多留聖典)


(写真:多留聖典)

 ユウレイボヤの被嚢には、びっしりとクビナガワレカラの幼体が付着していた。近隣のユウレイボヤにも表面を覆い尽くすほどの、大小さまざまのクビナガワレカラが群生しているが、なぜクビナガワレカラはユウレイボヤの上に群生するのかは不明。

 海底から採取した底泥のなかに、ヌカルミクチキレが入っていた。本種は最近になり発見された未記載種である。産地が非常に限られる希少種で、東京湾での過去の出現記録はない。


(写真:多留聖典)

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