東京港生物調査

2013年2月のお台場海浜公園

2013.2.24


(写真:多留聖典)

 2013年2月のお台場は、風が強く、水温は9度まで低下した。しかし水面はやや黄色く色づき、珪藻による春濁りが生じていた。そして、強い刺胞毒を持つアカクラゲの発生を注意する放送が流れており、水中に入ると確かにアカクラゲが遊泳していた。触手が非常に長い。

 アカクラゲ以外にも、オワンクラゲやカミクラゲなど、この時期に特有のクラゲ類が多く出現した。しかし残念ながら、先月、先々月と二回連続で確認されたロバトランペアは出現しなかった。写真はオワンクラゲ(ビデオからのキャプチャ)。


(写真:多留聖典)


(写真:多留聖典)

 水底では、ムラサキイガイが放卵・放精を行っていた。水流をかけると、勢いよく白い粘液を糸状に放出する。この中に卵や精子が含まれており、卵は海中で他の個体の精子と受精することで遺伝子交換が行われる。そのため、放卵・放精の時期を個体間で同調させることが必要となる。

 ニクハゼが水底に佇んでいた。ニクハゼは冬期繁殖であり、すぐ脇には巣穴がある。普段は巣穴の直上でホバリングしていることが多く、接近するとすぐに巣穴に隠れてしまうのだが、なぜかこの個体は寄っても巣穴に逃げ込まなかった。


(写真:多留聖典)


(写真:多留聖典)

 水深3m付近まで降りてきたタマキビ。「水を嫌う貝」として知られているが、繁殖期である冬期は水中に移動している。

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