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東京湾内湾の微小な巻貝 (2)お台場

2006.11.18

 


(写真:多留聖典)

 都心のレジャースポットとして有名なお台場でも、実は数多くの生き物を見ることができる。たまには、喧騒から少しはなれて、海岸で小さな生き物たちの営みを見つめてみてはいかがだろうか。今回は、お台場海浜公園で水に入らなくても観察できる、カワザンショウ科の小型の貝類を紹介する。


 オオウスイロヘソカドガイPaludinellassiminea tanegashimae 。ヘソカドガイ類は、カワザンショウ科の中では特徴的な長い触角を持っている。飛沫帯の大きめの転石の側面や漂着物の下などに多く見られる。 ヘソカドガイ属は分類が混乱しており、分類学的な再検討が求められている。


(写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 クリイロカワザンショウ属の1種 Angustassiminea sp.。上のヘソカドガイ属の1種と同所的に出現するが、むしろ砂礫の隙間などに多く見られる。この仲間は未記載種がまだ多くあることが知られており、それらをひっくるめてサツマクリイロカワザンショウ類似種、もしくはキントンイロカワザンショウ、アマグリイロカワザンショウという仮称で呼ばれることもあるが、その中には複数種が含まれている。


 両種を比較したところ。左がオオウスイロヘソカドガイ、右がクリイロカワザンショウ属の1種。殻の色や形態は同じカワザンショウ科だけによく似ているが、オオウスイロヘソカドガイでは触角が長いこと、またクリイロカワザンショウ属の1種は軟体部の色が淡いことなどがわかる。


(写真:多留聖典)


(写真:多留聖典)

 都会の真ん中、高層ビルに囲まれたお台場にも、まだまだ正体のわからない生き物は多い。ただ、少なくとも海岸でしゃがみこんだり腹ばいにならないとこれらの貝類は見つけることが困難である。海岸で生物を観察する際は、足元に十分な注意を払い、また潮位の変化や突然の高波に警戒すること、そして不審人物と思われないよう、気をつけることをお勧めする。

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