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黄金崎スカシカシパンプロジェクト (3)

2005.11.14


(写真:多留聖典)

「黄金崎スカシカシパンプロジェクト」で対象となっているスカシカシパンという生物、実はさまざまな生物がその体に貼りついている。もちろん、これらの生物についてもそれほど知見が多いわけではない。まずはこの生物。小型の巻き貝(腹足類)で、ハナゴウナ科の一種(カシパンヤドリニナ近似種)である。ハナゴウナ科の貝は、その多くの種が棘皮動物の体表面に付着して生活している。砂の中をずりずりと移動するスカシカシパンに付着して、よく振り落とされないものだと感心してしまう。


 そしてこちらは棘皮動物スナクモヒトデ科のダキクモヒトデ。スカシカシパンもしくはタコノマクラの体表にのみ見られるという変わった動物である。見ての通り、すかし穴と口(中央部)の間に見られることから、ここを流れる有機物を横取りして餌としているものと考えられる。この写真の2カ所に付着しているが、スカシカシパンでは多くの場合は1カ所のみに見られることが多い。一方、タコノマクラでは最大で13カ所に付着していた例が確認された。この両者の関係も興味深い。


(写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 このダキクモヒトデを拡大すると、面白いことがわかる。なんと、ほとんどの場合、1カ所につき2個体が重なった状態で付着しているのである。このうち小型の赤っぽい方が雄で、中心板の直径は約1〜2mm。色が薄く大型の個体は雌で、中心板の直径は約5〜6mm。雄と雌の体サイズに大きな開きがあり、しかもお互いに口どうしを重ね合わせて「抱き合った」状態でタコノマクラやスカシカシパンに付着している。
 そこで疑問。果たしてこの生物、どうやって配偶者を見つけてペアを形成しているのだろうか。全くの謎であり、興味は尽きない。

※ (c) 東邦大学理学部東京湾生態系研究センター 引用元を明記しない引用を禁じます。
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