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黄金崎スカシカシパンプロジェクト (4)

2010.12.8


(写真:多留聖典)

「黄金崎スカシカシパンプロジェクト」が始まって5年が経過し、長期的な移動状況を確認するために、タグのついたスカシカシパンの回収を試みた。しかし、2人でエリア内を泳ぎ回ったものの、なかなかタグのついた個体は見つからない。ようやく1個体だけが回収できた。


 タグには海藻類が付着しており、水中では個体番号の識別は困難であった。採集してタグを洗浄したところ、発見された個体はA132であった。この個体は2007年9月22日に標識放流された個体であった。標識後、3年ちょっとで回収されたことになる。残念なことに、この個体は放流後の再確認例がなく、初めて今回確認されたようだ。


(写真:多留聖典)


 この個体の標識地点と、回収地点をマップ上にプロットすると、3年間でおよそ20mほど動いたことになる。しかしながら1日で数m動いている個体が観察されたり、2007年1月に放流した個体が、同年9月には70mほど離れた地点で確認されるなど、大きく(?)移動した記録もあり、その動きには解明できない部分が多い。もっとも、個体によってはタグに大型褐藻のアントクメが生えるなどにより、波浪の影響で大きく動いたものもあるようだ。


 記録された全ての個体の移動履歴を追うことはまだできていないが、まずは3年ごしで発見された1個体の動きを示してみた。まだデータ整理が終わっていないが、機会があれば再度回収を試み、より多くの個体を回収したいと考えている。
 プロジェクトにご協力いただいた安良里ダイビングセンターの皆様、そして里親になっていただいたダイバーの方々に、感謝申し上げる。


(写真:多留聖典)

※ (c) 東邦大学理学部東京湾生態系研究センター 引用元を明記しない引用を禁じます。
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