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東京湾内湾の微小な巻貝 (1)小櫃川

2006.7.29

 当Websiteのコンテンツの多くを占めるのが干潟生物の紹介である。しかしながら、あまりに小さいものや発見が困難なものなどについては、掲載することが困難であった。それらの種についてある程度映像が得られてきたので、少しずつではあるが紹介する。


(採集:多々良有紀・写真:多留聖典)

 カハタレカワザンショウ Assimineidae sp. は、日本のカワザンショウ科の種の中では最も小型の種であり、殻高は約1mm。後背湿地の漂着物の中などで見られる。なお、和名の「カハタレ」は「彼は誰」に由来するそうである。あまりに小型のため、正体がよくわからなかったのだろうか。
(2007.4追記)
和名を提唱された方に伺ったところ、「殻の形態が一般的なカワザンショウ科の種とかなり異なり、これは何者であるか悩ましく見える、ということです」とのこと。別にもう一つの意味も伺ったが、それはヒミツ。


上のカハタレカワザンショウと同様に、後背湿地の漂着物の下などで見られるヤマトクビキレガイ Truncatella pfeifferi 。成長すると、写真のように殻頂部が欠損してしまうため、「首切れ貝」の名がある。


(採集:多々良有紀・写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 河口干潟ではないが、近隣の水田周りの水路で、カタヤマガイ Oncomelania hupensis nosophora を見ることができた。本種は日本住血吸虫の中間宿主であるために駆除の対象となり、日本全国の水路がコンクリート護岸化される理由付けとなった。そして日本住血吸虫の発生が無くなった今でもコンクリート護岸化は推進されており、一方、本種の姿を見ることはほとんどなくなり、皮肉なことに環境省のレッドデータブックで「絶滅の危機に瀕している」絶滅危惧1類に指定されている。

※ (c) 東邦大学理学部東京湾生態系研究センター 出典を明記しない引用を禁じます。
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