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東京湾湾奥のシワオウギガニ

2005.10.04


(写真:多留聖典)

 ここ数年、三番瀬海浜公園や新浜湖、東京港などの東京湾内湾の湾奥部で、見慣れないカニが出現している。甲幅が約3cm程度で、甲の形態からオウギガニ科の一種と考えられるが、過去に東京湾内湾で出現記録のある日本産のオウギガニ科の種とは異なる形態を持っている。
 どうやら、シワオウギガニMacromedeaeus distinguendusであるらしい。本種は、もともと日本の岩礁域に分布している。東京湾の湾奥部で確認されるようになったのはここ数年のことで、それ以前には出現記録がない。どのような過程で現在のように内湾干潟域で多数が見られるようになったのかは不明。


 シワオウギガニが内湾において発見されるのは、いわゆる「カキ礁」の中であることが多い。東京湾内湾に見られるカキ礁の中には、この種をはじめとして、チチュウカイミドリガニやイッカククモガニ、アメリカフジツボ、ヨーロッパフジツボ、ホンビノスガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイ、コウロエンカワヒバリガイ、シマメノウフネガイ、マンハッタンボヤ、カタユウレイボヤなどの、多くの移入生物が見られる。構造が単純な人工海岸の近傍に、複雑な構造体であるカキ礁が短時間のうちに形成され、急激に増加する移入生物にとって格好の生息場所になっているのかもしれない。


(写真:多留聖典)

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