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外来種 Rapid Assessment

2008.11.16

 


(写真:多留聖典)

 2008年10月25に、中国・大連で開催された北太平洋海洋科学機構(PICES)年会で、東京湾の外来種の報告が行われた。緊急調査(Rapid Assessment)として、お台場・船の科学館の浮き桟橋に基盤を設置し、付着した生物のについて外来性の評価を行った速報的なものであるが、参加国の中で唯一の具体的実施成果報告であった。その実施状況について、簡単に記述しておく。もし、身近に実行できる場所があれば、(もちろん管理者の許可を取ってから)試していただければ面白い結果が得られるかもしれない。なお、以下の文中の種名のうち、太字は外来種もしくはその可能性が示唆されるものである。


 付着基盤はアクリル樹脂製で、水深1mごとに1枚、1〜4mまで合計4枚を浮き桟橋からつり下げた。期間は5月〜9月であったので、もちろん貧酸素水塊の影響を受けて死んでしまったものもあることは付け加えておく。水深の深い4mの基盤にはポリドラ類(Boccardia 属?)の1種 のものと思われる棲管がびっしりと付着していた。それ以外にも、Anthopleura 属と思われるイソギンチャクの1種 、ムラサキイガイ、カニヤドリカンザシ、ヨーロッパフジツボ、アメリカフジツボなどが見られた。


(写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 より浅い水深では、チギレイソギンチャク、タテジマイソギンチャク、ミドリイガイ、ウスカラシオツガイ、エゾカサネカンザシ、マンハッタンボヤが多くなり、ときおりイガイダマシも見られた。付着生物の間隙には、アシナガゴカイトンガリドロクダムシなどが多く出現した。
 多くの船舶が行き交う物流の玄関口である東京湾では、非常に多くの外来種が見いだされる。バラスト水や船体・貨物付着などで多くの生物が人知れず国境を越えている(ヒト以外には国境という概念はないけれど)ことが改めて認識される。

Toshio Furota, Satoko Nakayama, Masanori Taru, Eijiro Nishi, Taiji Kurozumi, Tomoyuki Komai, Teruaki Nishikawa, and Ko Tomikawa. A report for 2008 PICES WG 21 meeting in Dalian, results of rapid assessment for marine invasion in Tokyo Bay conducted in 2008. PICES (The North Pacific Marine Science Organization) 17th Annual Meeting Dalian, China. October 25, 2008.

※ (c) 東邦大学理学部東京湾生態系研究センター 出典を明記しない引用を禁じます。
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