行徳鳥獣保護区干潟生物観察調査会

このコンテンツは、市川市との共同事業により作成されております。

実施報告

 

2006年9月18日(月)に市川市との共催で、千葉県市川市の行徳鳥獣保護区において、干潟の生物の観察調査会を行いました。当日は台風の接近の影響を受け、観察会開始前まではときおり激しい雨が降っていましたが、幸運にも観察会の最中は小雨がぱらつく程度でした。

観察調査会の内容は、前年の観察会に引き続き、2カ所の環境の異なる干潟(鈴ガ浦、百合が浜)で、できるだけ多くの生物を見つけること、そして環境の異なる干潟での生物相の違いを知ることを重点に置いて行われました。予定されていた地引き網は、悪天候のため中止となりました。

 

観察調査会の状況をお伝えします。

 観察会には、市川市の職員・地元ケーブルテレビの取材なども入りました。まず、普段は入ることのできない鳥獣保護区内に入り、干潟の概要や、調査手法などについて当センター長・風呂田が一通り説明して、調査開始です。


 まずは新浜湖の北西部、野鳥観察舎のほぼ正面に位置する鈴ガ浦から観察・採集を開始しました。鈴ガ浦の汀線付近は軟泥質で、ここ数年のうちにマガキが増殖し、カキ礁が形成されかかっています。参加者たちは、それぞれ手に篩いやバケツ・スコップを持って、20分間で見つけられただけの生物を記録・採集してゆきます。


 鈴ガ浦の上方は、20cmほどの段差を介してヨシ原に続いています。そのヨシ原際を掘り返しています。それを撮影するケーブルテレビのスタッフの方。足場も天候も悪い中、ご苦労様です。この付近のタイドプールにはマサゴハゼが、また、ヨシ原際の土の崖には、ムシヤドリカワザンショウやクリイロカワザンショウなどの貝が多く見られました。


 鈴ガ浦の汀線付近。カキがあちこちに顔を出しており、しかも軟泥のため入り込むとこのようにはまりこんでしまい大変危険です(写真は実演中)。カキは殻が鋭く尖っているため、胴長を貫通してしまうことがあり、注意が必要です。


 鈴ガ浦から百合が浜への移動中にも、新浜湖の環境についての説明が行われました。野鳥観察舎でのボランティア経験もあり、鳥獣保護区内の自然に精通している東邦大学の庭野さんがレクチャーを行いました。


 千鳥水門に近い百合が浜は砂質が強く、場所によってはヨシ原が水際までせまっています。ここでもそれぞれの参加者は20分間での生物調査を行いました。砂を掘って篩うと、中からゴカイ類や貝類が現れます。また、ヨシ原際にはカニ類が多く見られます。


 捕ってきた生物の名前を調べ、記録できた種数を計数します。今回の観察会でもっとも多くの種数を発見し、見事優勝したのは、東邦大や専門学校の学生を差し置いて、船橋市からの一般参加の方でした。おめでとうございます。


 干潟の観察会の帰りに、淡水池の中の生物をアミで掬ってみました。ヨシノボリの仲間やサカマキガイ(移入種)などが多く見られ、また周囲にはシオカラトンボやノシメトンボが飛んでいました。

 今回の観察会は、天候に恵まれませんでしたが、それでも数多くの生物を観察することができました。また、参加者やスタッフの皆様お疲れさまでした。

特記なき場合の撮影・作図者: 多留 聖典

画像を多用しているため、表示まで時間がかかる場合がありますが、ご了承下さい。

また、写真掲載に問題のある方がいらっしゃいましたら、ご一報下さい。