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鹿児島探訪(4)
(第20回魚類生態研究会)

2009.2.19

 


(写真:多留聖典)

 最終日は残念ながら雨天であった。開聞岳の西麓にある、花瀬海岸を訪れた。ここも岩礁海岸であるが、潮上帯には転石帯が広がり、潮間帯には数多くのタイドプールが形成されている。まずは転石を起こすと、下からはヘソカドガイ、オオウスイロヘソカドガイ、ハマシイノミガイ、オナジマイマイが確認できた。


 タイドプールにはいると、岩の上にはシマベッコウバイ、オレンジヘビガイなどが多く、エンタクミドリイシやショウガサンゴ類などの造礁サンゴが多くなり、その間からはやはりここでも色とりどりのカンザシゴカイ類が数多く見られた。小さな穴からは、ナンヨウミドリハゼが多数、顔を覗かせていた。あちこちの岩の隙間からムラサキクルマナマコの触手が見られ、黒紫色の体も覗いていた。瞬時に隠れてしまうが、トゲアシガニの姿も目に付いた。


(写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 さらに沖に向かうと、転石はほとんどなくなったものの水深はまだ1〜2mである。タイドプールの末端から外海に出ると、ツマジロナガウニやホンナガウニが岩盤の隙間にはりつき、ワカウツボ、ツマジロモンガラやハリセンボンなどの、やや大型の魚類が見られた。
 雨がだいぶ強くなってきたため、ここで観察を切り上げて荷物をパッキングし、空港へと向かうことにした。わずか数日であったが、干潟から岩礁、サンゴ礁域までを一通り巡り、普段あまり見かけない生物を見ることができた。

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