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フォーラム「海中から見た東京湾」(1)

2005.12.10


(写真:多留聖典)

 東京・お台場で、(財)日本海事科学振興財団海の科学館主催、東京港水中生物研究会・東邦大学理学部東京湾生態系研究センター共催で、2005年11月27日に「海中から見た東京湾」と題したフォーラムを開催した。さまざまな職業でで東京湾に潜水している4人が、それぞれの立場から海の中を通じて感じ取った東京湾について論じた。

 はじめに、東京新聞の藤原氏に、ジャーナリストの目を通して感じた、普段見ることのない東京湾の海の中と地上の社会生活とのつながりとギャップについての話をいただいた。


 続いて、東京都島嶼農林センターの小泉氏が、アユをはじめとする東京湾の漁業資源の現況と移り変わりについて、漁業統計の資料を示しながら説明した。行動経済成長期に、水揚げ量は激減しているが、それは決して魚が捕れなかったわけではなく、漁業権の放棄によるところが大きかったことも示された。 


(写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 そして、葛西臨海水族園の三森氏は、人口海岸である葛西臨海公園前の海域で1年以上続けられている潜水や地引網による生物調査の概要、「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されている東京湾のトビハゼの繁殖実験、そして水族館の展示を通じて一般の人々に身近な海についての情報を発信してゆく取り組みについて説明した。葛西臨海水族園には、東京湾の生物展示コーナーがあり、お立ちよりの際はぜひご覧いただきたい。 


 最後に、当センター長の風呂田が、まずは船の科学館と共同で発行した「東京港の生きものハンドブック」を題材に、東京湾の生物について説明した。環境教育を通じて身近な海にもいろいろな生き物がいて、それぞれ違う環境に生きていることを示し、いろいろな生き物に目を向けるためにどのような取り組みが求められているか、そのためには、東京湾の生き物に接している人間が情報を発信する必要があることなどを話した。

第2部は、この4人の講演者に対して会場の聴衆から寄せられた質問や意見を取り上げて、更なる討論が行われた。


(写真:多留聖典)

※ (c) 東邦大学理学部東京湾生態系研究センター 引用元を明記しない引用を禁じます。
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