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市川行徳鳥獣保護区(新浜湖)にウニ

2005.10.03


(写真:多留聖典)

 2005年9月30日、市川市の行徳鳥獣保護区(新浜湖)において、正形ウニ類が出現した。
 New Zealandより来日していた海洋生物学者
Dr. Andrew M Lohrer氏の調査に同行して潜水観察を行っていたところ、水深約1mの転石底において2個体のウニを発見した。棘に縞模様が見られる点から、このウニはサンショウウニ Temnopleurus toreumaticus と判断された。7月にも衰弱した1個体が同所で発見・捕獲されており、複数個体が生息していることが確認された。
 東京湾では、湾口部の岩礁には多くのウニ類が分布している。一方、内湾干潟域では木更津市の盤洲干潟で本種および同属の近縁種キタサンショウウニT. hardwickii が出現した記録がある。しかしながら東京湾湾奥部の干潟での正形ウニ類の出現は稀であること、また、観察当日も貧酸素水の影響からか水底にアサリの死骸が多く見られたことから、本種が継続的に新浜湖で生息しているのかを見極めるためにも、今後の動向が注目される。


 当日の水底。アサリの死骸が多く見られた。台風通過の影響により、数日前から東京湾沿岸に青潮が発生していたため、その貧酸素水の影響を受けたものと推察された。


(写真:多留聖典)

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