養老川河口干潟調査

 養老川は、房総半島から東京湾内湾に流入する主要3河川のうち、最も湾奥に位置しています。千葉県大多喜市の清澄山付近、麻綿原高原付近を源流域とし、市原市五井で東京湾に注ぐ、流域面積245km2、流路延長75kmの二級河川です。

 上流域には観光地として有名な養老渓谷があり、房総半島の典型的な河川上流域の様相を呈していますが、田園とゴルフ場の間を縫うように中流域に至ると高滝ダムがあり、下流域では館山自動車道市原インターチェンジ付近では廿五里(ついへいじ)可動堰で塩水の遡上が止まっています。本来の河口はそのやや下流の、国道16号付近だったそうですが、現在ではさらにその先に延びて、河口域には五井海釣り公園・臨海公園が設置されて市民に利用されてますが、右岸側は東京電力の五井火力発電所やチッソ石油化学工場、左岸側はコスモ石油や電気化学工業の工場に囲まれた、京葉臨海工業地域の真っ只中となっています。


養老川の位置


上空から見た養老川河口(撮影:風呂田利夫)

 東邦大学理学部では、身近な自然環境である東京湾に房総半島より流入する小櫃川・養老川を環境学習の場として活用すべく、両河川の源流域に近い福野小学校(廃校)を借り受けて環境学習・生物研究の場として利用する一方、周辺の生物および自然環境に関する情報の収集を行っています。また、以前より小櫃川流域・河口域に関しては多くの研究テーマを求めてきました。
 養老川河口は、廿五里可動堰より下の汽水域は河道に砂が堆積しており、船溜まりにも砂が流入して、干潟が形成されるに至っており、現在も拡大傾向にあります。意図的でないとはいえ、人為的な環境改変により形成された干潟としては大規模なものです。そこで、小櫃川とは異なる環境を持つ河口域の生物と環境要因に関する長期的な研究を2006年度より行うこととしました。

養老川調査報告

特記なき場合の撮影・作図者: 多留 聖典
画像を多用しているため、表示まで時間がかかる場合がありますが、ご了承下さい。