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北海道南部の河口・海岸(3)
(2009年度プランクトン・ベントス学会年会)

2009.10.20

 


(写真:多留聖典)

 朝、旅館の窓から虹が見えたが、雲の流れは速く、眼下の海面には白波が立っていた。きた道を少し戻り尻別川の河口へと向かった。国道を外れて細い道を下って行くと、すぐに細かい砂で覆われた左岸に到着したが、ここも感潮域は短くほぼ淡水なのだろう、やはりヒメベッコウの1種が目についた。海産生物といえば、打ち上がったクラゲの1種の死骸と、ウミネコとウミウのみであった。


蘭越 貝の館は、道の駅「シェルプラザ・港」の中核をなし、収蔵標本数30000点、展示標本数1500種5000点だそうである(11月から3月までは長期休館してしまうので注意)。
 貝を模った建物の中には、頭足類「チョッカクガイ」の大きな模型、そして南の海と北の海を同時に表現したジオラマがある(境界が曖昧で、タテジマキンチャクダイやミドリイシの下にエゾボラやサラガイがあるのはご愛敬)。学芸員がおらず、明らかな標本の取り違えや誤記が散見されたことが残念だった。受付の方に訂正事項を託してきたが、この大規模なコレクションを有意義に活用できる体制を整えることが望ましい。


(写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 蘭越 貝の館を出ると、突然強い雨が降ってきた。積丹半島の東側、古平を目指したが、北西よりの風雨が強まり、通行止めになりはしないかとかなり心配であった。積丹半島の西側の海面は、北西風をもろに受けて大荒れになっていたが、積丹岬を回り込んだ東側の古平の海は一転して穏やかであった。川が注ぎ込む場所や転石海岸を見つけては車を止めて生物を探すが、ときおりの雨のためか成果は芳しくなかった。しかも古平に到着すると、あてにしていた温泉は工事中で営業していないとのことで、非常に落胆した。

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