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北海道南部の河口・海岸(4)
(2009年度プランクトン・ベントス学会年会)

2009.10.21

 


(写真:多留聖典)

 翌日、やや天候は持ち直し、だいぶ海は穏やかになった。旅館を出発して古平町で国道をはずれ、町中を抜けて丸山岬に向かった。密漁者と間違われないよう、地元の駐在に連絡を入れて岩礁の海岸に降りると、タイドプール内にスガモの群落が見てとれた。まわりの岩にはクロタマキビなどのタマキビ類、またキタイワフジツボが多く見られた。タイドプールには、関東でもおなじみのホンヤドカリ、イソガニやアゴハゼが見られた。


 海中を覗くと、透き通った水の中をスジアイナメやベロなどの魚が泳ぎ、岩の間にはたくさんのユキノカサガイ、エゾザンショウ、エゾバイ、アメフラシ、イガイなどの貝類、テナガホンヤドカリ、ヨツハモガニ、イソガニ、コイチョウガニなどの甲殻類、そしてキタムラサキウニ、エゾバフンウニ、エゾヒトデ、マヒトデなどの棘皮動物が見られた。


(写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 海から上がり、歌棄にある古平川河口に足を運んだ。ここも開放的な河口であり、砂浜に直接川が注ぎ込んでいる。何人かの釣り客がいる他は、サケのホッチャレが落ちていたり、せいぜいミサゴが飛んでいる程度であった。
 1996年に崩落した豊浜トンネルを抜け(古平側の坑口脇のセタカムイ岩公園には当時の犠牲者を悼む慰霊碑があるが、余市側の湯内漁港にある旧隧道坑口脇には「ソーラン節発祥の地」の碑が立っている)、余市へと移動した。


 余市川沿いに進むと、道の駅「スペースアップルよいち」があった。スペースシャトルに搭乗した宇宙飛行士・毛利衛氏の業績をたたえると同時に名産のリンゴを紹介するコンセプトであるが、その目玉である「宇宙記念館」は休館しており、空しくスペースシャトルのミニチュアが雨ざらしになっていた(2010年4月に再度オープンしたようである)。
 前日に古平温泉が工事中で入れず悲しかったので、余市川温泉に入ることにしたが、ここも定休日であった。つくづく温泉運のなさを恨みつつ、近くのよいち観光温泉で暖をとり、苫小牧へと移動した。


(写真:多留聖典)

※ (c) 東邦大学理学部東京湾生態系研究センター 出典を明記しない引用を禁じます。
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