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鹿児島探訪(3)
(第20回魚類生態研究会)

2009.2.18

 


(写真:多留聖典)

 喜入の次は、薩摩半島を西に向かい、この前年に急逝した魚類研究者の余吾豊氏のフィールドであった南西端の坊津へと向かった。
 漁港の裏手に回り海に入ると、転石の上にはシイノミヨフバイが多く目に付いた。少し沖にでると、ミドリイシ類が海底に広がり、多数のイバラカンザシ類が鰓冠を広げており、その艶やかさは息をのむほどであった(が、スノーケリングなので息をのむとまずい)。


 海底の岩にはトックリガンガゼモドキ、ツマジロナガウニ、シラヒゲウニなどのウニ類が多く、そして多くの造礁サンゴの上にはやはり多数のイバラカンザシ類が見られた。大きく華やかなオレンジ色のミカドウミウシが岩盤を這っており、周囲の造礁サンゴの隙間にはシマギンポの姿が見え隠れしていた。


(写真:多留聖典)



(写真:多留聖典)

 さすがにこの時期のスノーケリングは長時間行うのは厳しいので、午前中で切り上げて少し北上し、吹上浜を訪れた。吹上浜に注ぐ万之瀬川の河口には広大な砂質干潟が広がり、クリークにはヨコヤアナジャコの巣穴が多く見られ、後背湿地には数多くのカワザンショウ類やウミニナ類、ヒメハマトビムシやユビアカベンケイガニ、ヒトハリザトウムシの1種などが見られた。


 近くを流れる小河川では、ゴミの投棄などで悪臭を放っているにもかかわらず、岸には多くのクリイロカワザンショウが、クリーク内には無数のタケノコカワニナが見られた。一方、万之瀬川の本流わきでは、見られたのはタケノコカワニナの幼貝が1個体、あとはヤマトシジミとカワゴカイ類のみであった。環境省 (2007) でタケノコカワニナは多産とされていたのだが、変動が大きいようだ。


(写真:多留聖典)

※ (c) 東邦大学理学部東京湾生態系研究センター 出典を明記しない引用を禁じます。
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