干潟生物調査・同定研修会 4月26日(火曜日)


 参加者は宿舎である民宿「与兵衛」に集合しました。当センター長の風呂田より簡単なオリエンテーションを受けて昼食をとり、バスで小櫃川河口干潟に出発しました。これから、湿地に入ります。


 干潟生物目視観察調査を前浜干潟・河口湿地各3地点ずつで行いました。一人あたり20分間、その地点で動物を探し回り、体サイズが縦横合わせて約1cm以上という基準を目安に、見つけた種をリストアップします。

 こちらは、河口部の後背湿地(クリーク)です。手前にいるのはアシハラガニ Helice tridens


 各人が見つけた動物は、可能なものはその場で同定しました。識別のポイントや生態的な情報を熱心にメモする姿が見られました。同定されたものは、記録だけ取って採集地点に放し、その場での同定が困難なものはポリ袋に入れてクーラーボックスで冷やして、生きたまま宿に持ち帰りました。


 東京湾に残された数少ない大規模な前浜干潟です。大潮干潮時には、長さ約1.5kmの広大な干潟が出現し、その規模は日本有数でもあります。汀線まで荷物を持って歩いてゆくのも一苦労でした。それでも、参加者はスコップとバケツを手にいろいろな生物を採集していました。


 ちょうど干潟の採集が終わった頃、いつしか空には北西から低い雲がたれ込めてきました。干潟面で落雷に遭うと、避難するところがないため大変危険です。初めは時間が余った場合、クリークの中を少し見てもらうつもりでしたが、天候の急変をおそれて速やかに撤収することにしました。


 思った通り、干潟から撤収する頃には大粒の雨が激しく降り出し、風が吹き、気温も急に低下。豪雨にたたられながらも、機材を片づけて宿に戻りました。宿では、参加者の持ち帰った動物を前に、西・駒井・黒住の各訪問研究員が識別ポイントや出現する生息地などを説明。熱心にメモを取る参加者の姿が見られました。


 西は、実体顕微鏡に接続したデジタルカメラの出力画像を、液晶プロジェクタを用いて襖に投影し、参加者に多毛類の同定ポイントを示しました。今回初の試みでしたが、わかりやすいとなかなか好評でした。


 夕食を挟んで、駒井・黒住による「甲殻類の分類」「軟体動物の分類」の講義が行われました。調査後の疲れにもかかわらず、参加者は熱心に聞き入っていました。


 講義が終わった後も、個別に質問に訪れる参加者は多く、関心の高さを伺うことができました。

 これにて、初日の予定は全て終了です。明日に備えて、お休みなさい。


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